台風クラブ(1985年・日本)
監督:相米慎二 出演:工藤夕貴 三浦友和 大西結花
教室の窓から顔を出し、生暖かくなってきた風に吹かれて、工藤夕貴がつぶやく。台風来たらいいのにな。
そして台風はやってきた。どしゃぶりの雨が降り、風が狂ったように吹き荒れる。その嵐の夜に、たまたま校舎に閉じ込められてしまった数人の中学生たち。先生に電話をして助けを呼んでも、酔っ払っていて話にならず、結局そのまま学校に泊まるハメになる。

「台風」と「夜の学校」という組み合わせは、彼らにとって二重の非日常だ。その異常なシチュエーションが引き金となり、日頃からたまっていた鬱積が爆発してしまう。一度爆発したらそれは笑いと同じで、もう止まらない。
だって、中3だもん。中3の夏なんだもん。
この映画が公開されるにあたり、中学生の喫煙、レズビアン、暴行未遂、自殺、そして教師の私生活(恋愛問題)が「いかがなものか」といわれて、ロケ地になった学校での上映会が中止になったという。うーん。どれも今なら特にタブーにならないかもしれないが、それでも、当然のようにスパスパやっているのが普通の女子中学生というのには、私もちょっと面食らった。
タバコはともかく、なんだか女子がみんな大人っぽい。何かをあきらめている感じが。それでいて、何かをまだ信じているところが。

暴行未遂シーンは、ここだけ急にホラーだ。なんでだよ〜。怖いよ〜。相米監督は演技指導が大変厳しいらしいが、大西結花、よくがんばった!
でも一番衝撃的なのは、豪雨の中で、男子と女子が下着姿になって乱痴気騒ぎをするシーンである。しかも、彼らが踊り狂いながら大声で歌っているのが、わらべの「もしも明日が」。これも、ある意味で衝撃。こんな風に使われると、なんだかすごい名曲のように思えてしまうから不思議だ。
真夜中の校庭で大雨に打たれながら、壊れたように踊って歌い続ける彼らの白い下着姿が、まぶしい。
それにしても、ことあるごとによく踊るなあ。この女子たちは。
冒頭いきなり、夜のプールでバービーボーイズですよ。足を振り上げお尻をつきあわせて、今この時をせつな的に謳歌。たぶん本人たちは何も考えていないのだろうけど、大人の私から見ると、ギリギリのところで狂喜乱舞しているように思えて、楽しそうで苦しそう。そこがまたよい。
そうやって、時折見せる狂気じみた雰囲気にドキドキし、シュールな映像と展開にクラクラしているうちに、台風は過ぎ去り、家出していた工藤夕貴は戻ってくる。

水浸しになった校庭は、透き通った日差しを浴びてキラキラ。木造校舎が金閣寺になった翌朝、彼らの憑き物は果たして落ちたのか。それとも、また何かを背負ってしまったのか。
個人的には、寝そべっている三浦友和が、立ち上がろうとした恋人の足をひっかけて倒し、2人して横になって痴話げんか?をする一連のシーンが、もうどうしようかと思ったくらい、ものすごくドキドキした。近くの机の上には、火がかかっているナベがあるしさ。
それはそうと、「犬神家の一族」を思わせるあのシーンは、わざと?笑うシーンではないのに、笑ってしまった。あとナゾなのは、佐藤浩市の友情出演。一体どこに出ていたのか、全然わかりましぇん。
大の大人になってから見た映画だったが、それでも心に残る忘れがたい名作。タイトルのセンスがいい。

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